ひとり言 業界情報

知れば知るほど面白い

今から二十年前の話です。
私は東京でP店の店長をしていました。

ある日公休日に池袋のゲーセンに行くと初めて見るビンゴゲームがあり、やってみようと思ったらやり方が分からない。取り敢えずやってみれば徐々に分かってくるのでしょうが、面白さも良く分からなままお金を使うのはもったいない。次に英語だけで書かれているポーカーゲームをやろうとしたら、これもまた遊び方がいまいち分からない。 

ゲーセンのゲームはなぜ説明書が無いのか?
その時思った。「これはパチンコとスロットも同じだ」。

私は自分がパチンコスロットを大好きだし、ホールの人間だから専門雑誌(必勝ガイドや攻略マガジン)を何冊も買って細かい文字まで全て読んでいました。だからどの台に座っても演出や解析情報はほとんどわかってプレイしていました。
しかし、ゲーセンに行くとただの素人ですから、遊技説明が書かれていないと遊び方がさっぱり分からないゲームがたくさんあったのです。

そのゲーセン以来、私はパチンコ台の遊技説明を作ってみようと思うようになりました。当時私は池袋・新宿・上野辺りの繁盛店はほとんど行っていましたが遊技説明を設置している店などどこにもありませんでした。

そんなある日、アルバイトスタッフに「こんな感じの遊技説明を作りたいんだ」と何気なく話したら、あるスタッフが「それなら自分が出来ますよ」と言うではありませんか。そのスタッフはある意味オタクで、イラストを書かせるとその道で仕事した方がいいんじゃないかと思う位の上手なイラストを描くのです。そして自宅に当時100万円以上するMacとその周辺機器を持っていました。

専門雑誌にはスペック・演出・解析・プレミア画像等、たくさんの情報が掲載されています。当時カラーコピーはありましたが、そのままコピーして台に設置したとしても専門雑誌は専門用語が多く、初心者のお客様が読んでも理解できない内容になっているため、分かりやすい言葉に編集する必要がありました。

専門誌のページをスキャナーで読み込んで、専門用語や分かり難い表現をPCで編集して初心者用に作り直すのは当時の技術では大変難しく、1ページを高解像度でスキャニングするのに15~20分も掛かり、スキャニングが終了した画像をPCに保存しようとするとフリーズする事があるような時代です。高性能なPCを持っているスタッフが居たのは本当にラッキーでした。

そして自店に設置していた人気機種から遊技説明を作っていきました。今では当たり前になっている台横に設置されている遊技説明と全く同じ物・・・いやその時作っていた物の方が現代の遊技説明より遥かにレベルが高かったです。ページ数もたくさんあったし、何より分かりやすい言葉に編集してあるのですから。
これは大変お客様に喜ばれ…と言いたい所ですが、お客様は「これいいね!」とは言いません。黙って見ているだけです。でも多くのお客様が手に取って見ているのですから、「これは確実に喜ばれている」と実感したのです。

そのサービスが結果的に正しかったのかは現代のパチンコ店を見れば一目瞭然。80%以上とも思える遊技説明を設置しているパチンコ店の現状を考えれば、遊技説明はお客様から支持を得たということでしょう。

パチンコスロットは本当は知れば知る程面白い。
しかしそれをお客様に伝えるのは本当に難しい事です。
お店が必死に教えなくても、自分で雑誌を購入したり、ネットで解析情報を見たりしている人も多数いますが、「そんなの面倒臭くて見ないよ」と言う人もたくさんいます。

しかし積極的に情報を伝えようとしている店舗はなかなかありませんね。遊技説明を設置してハイ終了。
パチンコ業界がへヴィーユーザー化していると言う話を聞いた事がある方も多いと思いますが、それは台が複雑になっている半面、実は中身を良く知れば本当は非常に面白く、知っている人だけが心の底からその台を面白いと思っているために起こっている現象です。

複雑になった機種が増えれば増える程、これからの時代はお客様にその台の遊び方や面白さを伝えて行く必要性が今以上に高くなっていくと考えています。

FANTASYLANDは今後その点に於いてもっと力を入れていく事にします。

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