業界人の間では「台粗利」と言う業界用語がよく使われています。
粗利÷台数=(1台当たりの)台粗利
台粗利は「台粗」とも呼ばれ、「台粗いくら?」のように、業界人の会話の中で頻繁に登場します。
しかし台粗利は計算式を見ればわかるように、粗利額を台数で割ってしまうため稼働率が低い店舗では台粗利も低くなります。店舗の収益性を考える上では重要な指標となりますが、1台1台、或いは機種別の収益性を判断する為の指標としてはピントがずれています。
機種毎の収益性を知るには様々な指標がありますが、その中でも特に「時間粗利」は非常に面白い指標であると言えます。1台当たりの粗利額を稼働時間で割れば1時間当たりの粗利額が分かります。
例えば台粗利2000円の機種で稼働時間4時間なら1時間当たり500円の時間粗利の機種です。1時間打つとお客様は500円負けると言う意味です。あくまで平均値です。
しかしパチンコ店は稼働時間をアウト玉(アウトメダル)から逆算して稼働時間を算出しているため、実際は稼働時間で割るとズレが出てしまいます。
もう少し詳しく書くと、パチンコの場合は1時間に打てる玉数は1分間100発×60分=6000発ですが、4時間稼働だと4時間×6000発=24000発になるかと言うと実際はそうならず、保留満タンやロングリーチ中に打ち出しストップ、トイレ等の離席も合わせると、実際の1時間当たりのアウト玉数は5000~5300発程度です。
スロットはフルウェイトで打つと1時間3600秒÷1プレイ4.1秒=約878プレイになり、878プレイ×3枚掛け=2,634枚のアウトになりますが、プレイが遅い人もいるので、平均すれば700プレイ×3枚掛け=2100枚程度が平均的なアウト枚数です。
ホールコンメーカーが独自に、現実的に1時間で打てる玉数と打ち込めるメダル枚数を仮定して、その数値で台粗利を割る事で、現実に近い1時間当たりの粗利額を計算したのが「時間粗利」です。
機種ごとの時間粗利を知って、その機種のアウトも調べれば、「この機種は時間粗利が多いのに人気機種だ」「この機種の人気が長持ちしているのは時間粗利が低い為だ」のような色々な分析が可能になります。
1円パチンコに設置されている現行機種(あまりにも設置台数が少ない台は除外)約250機種を時間粗利が少ない順に並べてみると面白い事が判ります。
時間粗利が少ないと言う事は、お店泣かせであるとも言えますし、或いは必然的にそうなっているとも言えます。
驚くべきは海物語シリーズで、海物語シリーズ約30機種は全て90位以内にランキングされ、その内40位以内に約20機種がランキングされています。お店が意図的にそうしているという表現は誤解を招くのでそうは言いませんが、とにかく海物語シリーズは時間粗利が少ないと言う事は間違いないのです。1円パチンコだけに限らず4円パチンコも同じ傾向です。
特筆すべきはF・クイーン系やナナシー系の様な名機の後継機は安定して上位にランキングされている事です。これも意図的なのかどうかは別として、結果はそうなっています。
海シリーズ導入で台が到着し、ゲージを見ると、「相変わらずお店泣かせの釘構成になってるな・・・」といつも思います。
海シリーズの様に不動の人気機種はメーカーも強気な釘構成で製造してきます。
冬ソナが出た時も、美空ひばりが出た時も、メーカーが「この機種は人気になる!」と自信がある機種ほど、釘構成が製造段階でお店泣かせになっている事が多く、蓋を開けてみると案の定時間粗利が低くなると言う事はよくある事です。
※この記事はそれらの機種を当店がお勧めしていると言う事ではありません。全国的にデータがそうなっているというだけです。